中小企業はTheMODELをそのまま取り入れてはダメ
「分業」は中小企業では再現が難しい
以前に、TheMODEL(ザモデル)という経営概念について下記のような記事を書きました。
TheMODELとは、要するに営業組織を機能別に分けて、連続的に分業して各チームの成果を最大化しよう、という考え方です。
- 集客は、マーケティング
- 情報提供やアポ獲得は、インサイドセールス
- 顧客商談から受注までは、フィールドセールス
- 受注後のフォローや追加購入提案は、カスタマーサクセス
このように、営業の流れを4つの機能に分解し、それぞれを別組織として独立させることで、組織ごとに「集客・アポ・受注・継続」という各KPIを最大化しやすくなるというものです。
ただ、これはベンチャーキャピタルからの資金調達などによって投資余力があるスタートアップや、人材が豊富な大企業でこそ実現できるものであって、一般の中小企業では「そのまま」取り入れることは現実的ではないと思っています。
中小企業はTheMODELの「パイプライン管理」を採用しよう
じゃあ「TheMODELなんて中小企業には役に立たない概念なのか?」といえば、そんなことはなく、極めて実践的、実用的な考え方であることは変わりません。
ただ、取り入れる部分には気をつける必要があります。
中小企業が取り入れるべきは「パイプライン管理」の概念、ここです。
つまり、見込客を集客するところから、情報提供をし、商談を打診し、商談を実施して、受注し、受注後に一層の関係強化のためにフォローしていく。
この一連の顧客接点の流れをパイプラインと呼びます。このパイプラインにおいて、要所要所に目安となる指標を設定し、そのとおりに流れているかをチェックする。問題がある箇所が判明したら、そこをすぐに改善しにいく。
目安となる指標というのは、たとえば下記のようなものです。
- 新規リード(お客様の名刺情報)獲得数
- 見込客(アタック対象)への転換率
- 見込客への電話・メールアプローチ数
- 商談獲得数
- 商談からの案件化率
- 商談受注率
- 平均商談期間(リードタイム)
- 受注顧客の契約継続率、リピート率 など
これらは一例ですが、こうした指標を、週次や月次で追いかけていき、過去の傾向に比べて大きく悪化したところがあれば速やかに改善しにかかります。
中小企業では、商談数や受注率は見ているものの、上流の新規リード獲得や転換率、あるいは受注後の継続率、リピート率といったところまではデータを取っていないケースもよく見かけます。
スタートアップや大企業のように、集客・アポ獲得・商談・受注後フォローをそれぞれ別の人材に任せることは難しいですが、上述のパイプイン管理という概念を取り入れることは、中小企業でも取り組みやすいはずです。
これにより、従来は勘と経験をベースに運営されていた営業組織が、データを中心とした運営に変わり、優先的な課題を特定しやすくなり、ゆえに効果的な改善施策を打ちやすくなります。
常に人手不足という問題がついてまわる中小企業こそ、「施策の無駄打ち」は避けねばなりません。それはすなわち貴重な人的リソース(時間)の消耗であるからです。
TheMODELをそのまま取り入れるのではなく、パイプライン管理のように、営業活動の本質的な部分だけを導入することで、自社の営業体制に磨きをかけていきましょう。
本日は以上になります。
株式会社FooLaiBo
三浦 隼