プロジェクトはクイックな立ち上げが求められる

仕事柄、各社の改善プロジェクトをリードさせてもらうことが多いです。

新規事業立ち上げのような「ゼロから創る」プロジェクトも0ではないのですが、圧倒的に多いのは「今の業務を改善する」を目的にしたもの。

インサイドセールスや営業の成績改善プロジェクトや、カスタマーサクセスの業務改善プロジェクト、内部業務のワークフロー改善プロジェクトなどなど。

これらのプロジェクトをお受けする際、求められるのはスピーディな立ち上がりです。

大体が3〜12ヶ月と期限付きのプロジェクトですから、クライアントとしては初月の立ち上げ準備にグダグダ時間を浪費してほしくない。当然です。

したがって私としては、それがどんなにカオスな状況にあっても、考えうる最短距離と速度で、当該プロジェクトの立ち上げをする必要がある。

4軸+3要素のフレームで最短最速な立ち上げ

そんな状況のくり返しの中で自然と身につけたフレームワークが、「現状」「理想」「差分」「改善」の4軸です。

• 現状 → 現在の状況の把握
• 理想 → プロジェクト後にどうなっていたいかのゴール設定
• 差分 → 現状と理想のギャップの確認
• 改善 → ギャップをどう埋めるかの実行ステップの策定

補足すると、「改善」は具体的には「いつ、誰が、何をする」の3要素を考えることになります。

つまり、4軸+3要素ですが、それでも非常にシンプルな枠組みです。

この枠組みに沿って情報を整理、組み立てていけば、クイックにプロジェクトを立ち上げ、始動することが可能です。

4軸+3要素のフレーム活用の具体例

例えば、営業事務の内部業務改善プロジェクトを例に考えてみます。

置かれた状況

「見積まだですか？」と営業から催促が来るが、承認待ちで止まっている案件が複数ある。誰がどこまで処理したのか分からず、メールを遡って確認する日々。属人化が進み、担当者が休むと業務が止まる。毎日残業しているのに一向に改善されず、何から手をつければいいのか分からない。

こうした状況にあるチームにおいて、業務改善プロジェクトを立ち上げることになりました。なかなかカオスな状況ですが、これを「4軸+3要素」のフレームにそって整理すると、こうなります↓

現状

見積依頼対応に平均2日、紙ベースの稟議承認に平均5営業日かかっている。部門間連携は属人化し、営業事務3名の残業は月20時間に達している。

理想

見積は当日対応、承認フローは電子化で2営業日以内に完結する。標準化により誰でも対応可能で、残業は月10時間以内となる。

差分

見積2日→当日、承認5日→2日へのスピード向上が必要だ。属人化による手戻り、フォーマット未統一、過去データの未活用が課題となっている。

改善（いつ、誰が、何をする）

• 1ヶ月目：リーダーが現行フロー可視化とボトルネック特定、メンバーAが見積テンプレートと標準手順書を作成
• 2ヶ月目：メンバーBが電子承認ツール導入、リーダーが関係部署と連携ルール整備し試験運用を開始
• 3ヶ月目：全員で振り返りと効果測定、リーダーが全社展開計画を策定

どうでしょうか？ こんな感じでスッキリと情報を整理でき、プロジェクトの要諦を押さえた骨子を立てることができました。

もちろんここからさらに、実行計画を具体詳細化していくわけですが、スタート段階のキックオフMTG時点では上記レベルの整理ができていれば十分です。

この内容を叩き台に、関係者にてディスカッションを深めていけばいいわけですから。

関係者の合意を得るためには情報をシンプルに整理する必要がある

情報整理の枠組みを用いずにプロジェクトを開始しようとしても、成功は難しいです。それはプロジェクトが、複数の関係者の関わりを前提として進むものだからです。

関係者が増えるほど、現状の課題や目指すゴール、誰がいつまでに何をするのか、といった認識を統一する必要があります。ただ、カオスな現状の中から、関係者が合意しやすい形にこれらの情報を整理するという作業は、徒手空拳でやろうとすると物凄く難易度が高い。

そんな時、ここでご紹介した「4軸+3要素」のフレームを活用すると、クイックにシンプルに、情報が整理できます。

これで、プロジェクトの方向性を決めるキックオフMTGも有意義な時間にできるはず。

ぜひ、活用してみてください。

本日は以上になります。

株式会社FooLaiBo
三浦 隼

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