「倒産発生率が10年間で最悪」の時代にどう生き延びるか
2024年度の企業倒産は11年ぶりに1万件超え
経営者としては嫌なニュースですが、東京商工リサーチが7月4日に公表した内容によると、2024年度の倒産発生は過去10年でもっとも悪化したそうです。
コロナ禍のいわゆるゼロゼロ融資の返済に加え、原材料や人件費などのコスト増、法定福利費の負担増、あるいは業界を問わず人手不足や残業規制といった環境的な要因もあり、企業経営の難易度は厳しくなる一方と言わざるを得ません。
とくに、資金的な余力のない中小企業・零細企業の経営者にとっては、本当に厳しい戦いを強いられる状況になっています。
売上を増やすのは容易ではない
こうした事業環境の中で、とにかく売上を上げなきゃ!と躍起になるのは、気持ちとしては非常によくわかります。売上さえ維持・増加できれば、ひとまず目先の経営は安心できるように感じるからです。
ただ、実際には売上を増やすというのは簡単ではありません。簡単にできるなら、すでにこれまでに、とっくに実現できていてもおかしくない。
それができていないわけですから、新たな売上を創るというのは簡単な仕事ではないんです。
まずはキャッシュフローの確認から
売上を増やすには、①既存顧客からの購入(単価)を増やす、②新規顧客を獲得する、のいずれかになります。
当然、②のほうが難易度は高く、受注実現までに時間がかかります。とっつきやすさで言えば、まず①から着手すべきです。
といっても①も、とりかかって1ヶ月ですぐ受注、という結果にはなりにくいですから、やはり受注創出までに2〜3ヶ月は最低でも見ておくのが安全です。
その際、大切なのは「あと何ヶ月、今の売上状態で会社を存続できるのか?」という点です。つまり、キャッシュ(現金)がどれくらいあるのか、という問題ですね。
中小企業・零細企業においては、だいたい、月々のお金の出入りといのは均衡しています。月商3,000万円の会社なら、出ていくお金も、概ね月間3,000万円くらいということです。
この「ほぼトントン」の状態なのであれば、ひとまず、赤字を垂れ流している状況ではありませんから、新規の売上を創りにいく活動にある程度の投資を振り向けることができます。
一方で、直近で売上が減少傾向にあり、月次のキャッシュフローが赤字に陥っている場合、新規売上のための投資にチカラを割いている余力はありません。
まずは、少しでも経費を見直し、コスト削減を実施して、月次のキャッシュフローをトントン以上に持っていくことが重要です。
銀行への追加融資の相談も準備しておく
キャッシュフローの見直しを急いで行なったとして、それでも、多少のコスト削減ではどうにも単月キャッシュフローの赤字を解消できないという場合もあるかもしれません。
その場合、付き合いのある信用金庫など金融機関への追加融資の相談準備も進めておくべきでしょう。
まず、事業計画書は不可欠です。現状の収支状況を見える化し、そこから今後の改善プランを作ります。どんな活動をして、どのように売上を増やし、粗利を確保して、利益を残すか。
絵に描いた餅では意味がありませんから、地に足のついた、根拠のある具体的で力強い営業計画書が必須となります。
この営業計画書は単なる銀行向けアピール材料ではなく、そのまま、経営者と従業員のための営業活動の指針となりますから、その場しのぎで作るべきではありません。しっかり腰を据えて、経営者自身がその実現を信じられるプランを作るべきです。
従来の延長には新しい未来はない
『狂気とは、同じことを繰り返しながら、異なる結果を期待することである』
科学者アインシュタインの遺した有名な言葉です。
2020年のコロナ禍以降、激変を続ける経済環境の中で、私たち経営者は常に厳しい戦いを強いられています。
周囲の環境そのものが大きく変化し続ける中にあっては、経営者の姿勢も、経営手法も、それ以上に大きく変化させていかなければ、明るい未来をつかむことは不可能と断言できます。
トランプ関税や社会保障費のようなマクロ環境は、いかに剛腕な経営者といえど、いち個人にはどうコントロールもできないことです。
他方で、姿勢(マインド)をより現代に適合したものに切り替えたり、あるいは生成AIやDXを積極的に活用して会社の生産性を劇的に向上させたり、といった努力は、これは経営者の覚悟次第で今日からでも取り組むことができる領域です。
大変な戦いはこれからも続きます。もうそれは「前提」と受けとめて、覚悟をしてしまいましょう。あとは私たち経営者が変化し、成長し、会社を率いて全社をも変化成長させていくのみです。
この時代に中小企業が生産性を高めるための、第一歩をお示しするオンラインセミナーも随時開催しています。明るい未来をつかみにいくんだ、という経営者さんは奮ってご参加ください。
本日は以上になります。
株式会社FooLaiBo
三浦 隼