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中小企業の営業改善:まずは現状把握から

更新日時:2025.10.17
カテゴリー:Blog

相談の9割は営業に関するもの

お客さんからいただく相談の6割は「営業組織を改善したい」です。

カスタマーサクセスなど広義の営業領域も含めると、9割になります。

それほど、中小企業の経営者さんの悩みは「営業」なんですね。(集客も含みます)

資金繰りや採用、DX化なども常に重要な経営課題ではありますが、商売は売上あってのものですから、やはり営業という課題の重要度は突出しているのだと思います。

どこが良くてどこがマズイ状況なのか

ただ、相談に来られた社長のお話をよくよく聞いてみると、「営業」のどこが具体的に課題なのかスラスラ答えられる人はごく稀です。

自営業に近い小規模企業ならともかく、一定の規模になると、各部の統括は部下に任せていることがほとんど。社長はくわしい実態を把握していないんですね。

そして統括している部下(責任者)も、組織の現状を詳細に把握しているケースは非常に少ない。データを取っていないからですね。

これでは、組織のどこが良い状態で、どこに問題があるのか、適切な診断ができません

データを整理し、改善すべき箇所を特定する

データを取ってないといっても、情報が全くないということはまずありません。

営業部なら営業担当者がいます。彼らは毎日電話をかけたり訪問したりと営業活動を行なっています。つまり活動の実態はある。

であれば、それを書き起こして見える化すればいい。

難しいシステムは不要で、Excelやスプレッドシートで十分。規模によっては手書きでメモ帳に書きつけていくのでもOKです。体裁より実を優先しましょう。

まず押さえるべきはざっと以下の項目です。

  • 月間のリード(見込客)流入数 ※名刺の数と思ってください
  • 架電件数
  • 商談アポイント数
  • 一次商談数(自社紹介、用件ヒアリングなど)
  • 二次商談数(提案、見積もりなど)
  • 受注数
  • 受注金額

これらの数字は活動の「量」を表しています。

そしてこれらがわかると、それぞれの「転換率」が割り出せます。つまり、架電に対するアポ率とか、商談に対する受注率など。

これで活動の「質」も把握できます。

最低限の数字(データ)を揃えることで、営業部の活動の量と質の実態がわかる。

ここから、どこに大きな問題があるかを特定していくわけです。「商談はたくさんできているのに、全然受注しないな」とか。この場合は商談受注率に問題がありそう、とアタリがつけられますね。

仮説を立て、施策を打つ

アタリをつけたらすぐ改善施策を考えていきます。

まずは、原因の仮説づくりから。「商談受注率が低いのは○○だからじゃないだろうか?」これを考えるのが仮説づくりです。

いろいろと思い浮かびますね。

  • きちんとニーズをヒアリングできていない
  • 提案書のクオリティが低い
  • 見積もり金額が高い
  • ライバル会社の製品に負けている
  • 「検討します」の後にフォローしていない
  • そもそもターゲットではない会社に商談に行っている
  • 商談相手が適切な部署、役職ではない

まだまだあるでしょうが、ちょっと思いつくだけでもこれくらいあります。

ここに落とし穴があります。

なまじ候補がたくさん出るので、どこから手をつけるべきか決められなくなってしまうんですね。どれが最善の選択だろうか、と考えているうちに分からなくなってしまう。気持ちはわかります。

ポイントは「正解にこだわりすぎないこと」。ビジネスに確固たる正解なんてものは、無い。できることから1つずつ改善策を実行していく。正解があるとすれば、これが正解だと思います。

振り返りと、次の手

この考えに立脚して、すばやく改善策を実行していきます。

仮に「商談受注率が低いのは、ニーズがヒアリングできていないからじゃないだろうか?」を採用したとします。

であれば、充実したヒアリングが実現できるよう、手を打っていく。

まず一番成績の良い営業担当者に協力してもらい、商談でどんなことを聞いているか、どんな順番で聞いているか、それに対しどんな回答がよく来るのか、などを確認していきます。

その情報をもとに、「商談ヒアリングシート(仮)」を作る。ExcelかWordで構いません。

コツは「仮」としておくこと。私は「ver0.6(バージョン0.6)」というような書き方を好んで使います。

いきなり完成品を出そうとすると、社内向けであってもプレッシャーがある。だからなかなか出せなくなる。

そこで「仮」です。「これは仮版ですから」とか「あくまでバージョン0.6ですので」と言い訳しながら作って出してしまう。スピードが格段に上がります。

こうやって、課題の仮説に基づいてスピーディに施策を打つ。そして打ったら、一定期間眺めて、効果のほどを振り返る。

効果があればさらに推進する。なさそうなら次の手に移る。

この繰り返しで、改善施策を脈々と続けていくわけです。このサイクルが回り始めれば、おのずと営業活動は磨き込まれ、受注数、受注金額、あるいは利益といった定量的な成果にも繋がっていきます。

適切な現状把握から、改善をスタートしていきましょう。


本日は以上になります。

株式会社FooLaiBo
三浦 隼




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