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AI導入前にやるべきこと|48人で試して分かった、決めるべき3つのこと

更新日時:2026.09.03
カテゴリー:Blog

先日、あるメーカーの販売店の営業管理職の方々、48名を対象に、3時間のワークショップをやってきました。全員パソコン持参で、実際にAIを触っていただく形です。

終わったあとのアンケートを見ていて、あらためて確かめられたことがありました。AIを使い始められるかどうかを決めているのは、準備の量ではないということです。

決めるべきなのは、三つだけだと思っています。最初に手をつける業務、入れない業務、そして何を入力してよいかの線引き。順に書いていきます。

「導入前にやるべきこと」でよく言われること

AIを社内に入れる前にやるべきこと、として、だいたい次のようなことが挙げられます。

社員のリテラシーを揃える。利用ルールを整備する。導入目的を明確にする。推進体制をつくる。

どれも間違ってはいないと思います。ただ、これを全部片づけてから始めようとすると、たいていの会社は始まりません。リテラシーは揃わないし、ルールは決めきれないし、目的は「効率化」以上に具体化しない。

この日の参加者も、事前アンケートでは週1回以上AIを使っている方が55%、ほとんど使ったことがない方が45%と、きれいに半分に割れていました。

リテラシーはまったく揃っていない。それでも3時間触っていただいた結果、「最初に試す業務が決まった」と答えた方が半数、「候補が見つかった」まで含めると9割でした。

準備が整っていなくても、動き出すところまでは行ける。逆に言えば、準備を待っている限り、いつまでも始まらないということでもあります。

ひとつめ:最初に手をつける業務を決める

まず決めるべきなのは、最初に手をつける業務をひとつ、これです。

これが決まっていれば、リテラシーが揃っていなくても、ルールが完璧でなくても動き出せます。逆にここが決まらないまま研修だけ重ねても、翌週には元に戻ります。

選び方はシンプルです。毎週・毎月くり返していて、面倒で、後回しになりがちな作業から。

会議のあとのメモ整理。問い合わせの分類。報告書の下書き。営業に出る前の情報整理。このあたりはどの会社にもあって、しかも誰も好きでやっていません。効果が体感しやすいので、最初の一歩に向いています。

ふたつめ:AIを入れない業務を決める

これも大事なところだと思っています。

件数が少ない仕事。ミスの影響が大きい仕事。人がやったほうが早い仕事。責任のある判断が絡む仕事。こういうものは、無理にAIを入れなくていい。

AI活用というと、何でもAIにやらせることだと思われがちですが、実際は逆です。「AIに任せる」「人が判断する」「いまは入れない」の三つに分けることが、そのまま業務整理になります。

そして「入れない」と決めることも、立派な判断です。ここを曖昧にしたまま進めると、あとで無理が出ます。

みっつめ:何を入力してよいかの線引きを決める

この日、自由記述で最も多かった質問がこれでした。

「顧客名や売上の数字を、AIにどこまで入力していいのか」

使い始めた方が必ずぶつかる問いです。そして「絶対に入れるな」と言ってしまうと、AIはほとんど使えなくなります。営業の分析をしたいのに、数字を入れられなかったら意味がありません。

私は、二段階で整理するようにしています。

まず、道具の側。 使っているのが個人の無料版か、会社として契約したプランか。入力内容が学習に使われない設定になっているか。無料版でも、学習させない設定や一時チャットの機能で対応できる場合がほとんどです。ここは設定で解決できます。

そのうえで、情報の側。 入れる・入れないの線引きは、ひとつの問いで判断できます。

その情報がないと、AIの答えが変わってしまうか。

変わるなら、入れる必要があります。商談数、受注数、売上、利益。これを伏せたら分析になりません。

変わらないなら、伏せて構いません。顧客の社名、個人のフルネーム、メールアドレス。「A社」「B部長」に置き換えても、分析の精度はほとんど落ちません。

AIは、入れてよい情報かどうかを判断してくれません。そこだけは、人間が線を引く必要があります。

まとめると

AI導入前にやるべきことは、準備を完璧にすることではなく、次の三つを決めることだと思っています。

  • 最初に手をつける業務をひとつ決める(毎週・毎月くり返していて、面倒な作業から)
  • 入れない業務もはっきりさせる
  • 何を入力してよいかの線引きを、社内で共有する

このうち、実は一番後回しにされがちなのが三つめです。決まっていないと、現場の人は不安で手が止まります。逆にここさえ決まっていれば、あとは触ってみるだけです。

リテラシーは、触っているうちに勝手に揃っていきます。実際、この日の48名がそうでした。

準備してから始めるのではなく、始めながら整えていく。中小企業の場合は、そのほうが現実的だと思っています。


本日は以上になります。

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